登記実務 | すがはら法務事務所ブログ

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不動産登記におけるDV被害者の住所の特例的取扱いについて

不動産登記制度の原則的な考え方によると、公簿である登記簿で、その不動産の
所有者を確認できる必要があるため、登記簿に個人住所が記載されます。

たとえば、不動産を売却等する時に、登記簿上の個人住所が、実は前住所のまま
になっていたということは、珍しく無いのですが、この場合、売却による所有権
移転登記の前提として、「住所変更登記」をすべきことになります。

しかしながら、「現住所」を秘匿する必要性が高いDV被害者については、上記の
ような住所変更登記を特例的に省略する取扱いが認められています。

この特例の適用を受けるため、私の担当した事案では、法務局と事前相談のうえ、
所有権移転登記申請書に次のような書類を添付しました。
・被支援者であることを証する情報として「住民票の写し交付停止決定通知書」
・住所変更の沿革を証する住民票等
・上申書

住所変更登記は不要であるけれども、住所変更の沿革の証明自体は省略できない、
というのは一つの注意点であると考えます。
上申書は、特例の適用について特に注意喚起する意味合いで、念のため作成しま
した。

法務局からは、特例の適用を希望する旨「目立つように付箋等を貼って」提出して
ください、との助言を受けました。

自分自身の忘備録も兼ねて記事にしました。

不動産登記オンライン申請で同順位を綺麗に並べる方法

平成17年の法改正後、登記手続きのオンライン化が進み、ここ数
年で利便性(操作安定性)も向上してきました。

当事務所では、商業法人登記は100%、不動産登記も90%くらい
はオンラインで登記申請しています。

窓口に行かなくても迅速かつ効率的に登記申請できて、処理状況
もリアルタイムで確認できるのがメリットと思われます。

一方で、イレギュラーな対応を要する(いわゆる行間を読むとい
うような)事案には適さないなと感じることもあります。

さて、表題の件は、自分自身の忘備録として・・
・同順位の場合、オンライン申請の「最終確認画面」で上に表示さ
れた申請情報が「あ」、下に表示された申請情報が「い」、という
要領で、自動的に振り分けられる。
・そこで、「処理状況一覧画面」で、コントロールキーを押しなが
ら、「上に入れたい順序」で、申請情報を選択(青色に変わる)。
・最終確認画面で再度順序を確認のうえ、同順位入力し、実行。

中段の「コントロールキーを押しながら」というのがミソです。
手順に迷う場合は、法務省のサポートデスクに問い合わせると、丁
寧に教えてもらえます。

実際にその作業をしてみないとイメージが湧かないと思われますが、
実務上、結構気を遣う部分です。

オンライン申請、便利なのですが、それこそインターネットバンキン
グで高額な振込をするような感覚です。
入力ミス・操作ミスなど許されないので、独特の緊張感もありますね。

共有根抵当権の持分移転登記の登録免許税

(事案の概要)

元本確定した根抵当権
極度額 8,000万円
根抵当権者 A銀行

一部代位弁済により根抵当権一部移転
弁済額 1億円(極度額を上回っている)
根抵当権者 B信用保証協会


以上を前提に、今般、A銀行の残債務全部(3,000万円)
をC株式会社に債権譲渡する。

登記の目的 根抵当権A銀行持分移転

なお、全部移転であっても登記の目的は上記となる。
譲渡債権額は登記事項では無い。

(論点)
ここで、根抵当権A銀行持分移転の登録免許税はどの
ように算出すべきか?

(法務局との協議の結果)
譲渡債権額(A銀行の残債務)を課税標準とする。
なお、上記のとおり譲渡債権額は登記事項では無いの
で、別途、譲渡債権額が「いくら」か、を疎明する資
料を根拠として示す必要がある。
当事務所では、登記原因証明情報に譲渡債権額を明記
することにより対応した。


以上、忘備録として記事にしました。

結論だけを見れば「ああ、そうか」という程度に思われ
ますが、意外と参考文献が無く、判断に迷いました。

医療法人の事務所移転に伴う登記

医療法人の主たる事務所の移転に伴い、多くの場合、
法人登記簿の登記事項中、
1.主たる事務所
2.診療所の開設場所(目的業務の欄)
の2箇所に変動が生じると思われます。

ここで、登記原因年月日ですが、
1.については、事務所移転に関する認可書到達日以降、
「実際の移転日」として、理事会にて定めた日
2.については、あくまでも「認可書到達日」
になります。

その結果、仮に、実際の移転日と認可書到達日が異なる場合、
主たる事務所の所在地と診療所の開設場所が、一時的にズレて
いるように登記されることになりますが、登記事務としては、
そのように処理せざるを得ないとのことです。

疑義が生じたので、法務局に照会したところ、上記のような 回
答を得ました。

忘備録として記事にしました。

本人確認情報の「有効期限」

不動産登記手続きに際して、「登記済権利証」あるいは「登記識別情報」
を紛失等されていて法務局に提出できない場合、代替手段として、司法書
士による「本人確認情報」の作成という手続きが選択可能です。

司法書士が、権利証等を提出すべき名義人と面談し、その記録を提出する
ことによって、権利証等の代替書類になり得ます。

権利証等は、名義人本人が登記手続きに関与していることの担保(なりす
まし防止という趣旨)なので、司法書士がしっかり本人確認していれば十
分でしょうという発想です。

ところで・・

今回、2016年8月に上記面談をしたにもかかわらず、事情があってすぐに
登記手続きできず、2017年3月にようやく登記手続き実行した事案があり
ました。
面談日から本人確認情報提出日まで7か月も間が空いてしまったことにな
ります。

不動産登記法上、本人確認情報の「有効期限」は定められていないのです
が、さすがにこれほど時間経過した経験は無かったので、若干不安に思い
ながらも、時間経過した理由も補記したうえでそのまま提出しました。
(もう一度面談しても良かったのですが、3月末でスケジュールに余裕が
なかったということもあり・・)

結果として、何ら問題無く登記手続きが進みました。

印鑑証明書は3ヶ月以内のものを添付していますし、それらも総合的に見て
問題無いと判断されたのでしょう。
(もちろん私自身が問題無いと判断している前提ですが)

ちょっと珍しい(?)ケースだったので、参考までに記事にしました。

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