医療法人の定款変更登記~行政庁の認可と効力発生日~
2013年3月26日(火)
- テーマ:
- 登記実務
今回は法人登記実務の少し専門的な話題になります。
以下、事例に即して考えてみましょう。
医療法人が定款変更する際には、主務官庁(都道府県知事)の認可を受けることが
効力要件になります(医療法第50条)。
ここで、3月1日付で認可を受けて、当該認可書が3月10日に医療法人に到達した場合、
定款変更登記の申請書に記載すべき変更年月日(定款変更の効力発生日)は、3月1日
or3月10日のいずれが適切でしょうか?
答えは「認可書到達日」の3月10日になります。
この点について、登記実務上の根拠は、「昭和34年民事甲第2737号民事局長通達」
になるようです。
先日、上記登記手続きを受託した際、認可書に明記されている日付ではなく、当事者
からの「聴き取り」によってしか判断できない到達日を効力発生日として登記すること
に何となく私は違和感を感じたため(到達日をきちんと控えていない可能性もあるでし
ょう)、あらためて詳しく調べてみたわけです。
市販の実務書・登記マニュアル本などを参照しても、上記のような根拠にまで言及して
いるものはほとんど見当たりませんでした。
考え方として、「主務官庁の許可という行政行為は、その行為のみで効力を発生する
ものではなく、相手方がこれを了知し得べき状態、すなわち到達したときにその効力が
発生すると解すべき」ことになるそうです(登記研究152号)。
なお、実務対応としましては、当事者(法人)から到達日を聴き取り、司法書士への登
記委任状に「認可書到達の年月日 平成25年3月10日」の要領で記載するのが一般的
です。
以上、自分自身の忘備録という意味も込めて記事にしました。
以下、事例に即して考えてみましょう。
医療法人が定款変更する際には、主務官庁(都道府県知事)の認可を受けることが
効力要件になります(医療法第50条)。
ここで、3月1日付で認可を受けて、当該認可書が3月10日に医療法人に到達した場合、
定款変更登記の申請書に記載すべき変更年月日(定款変更の効力発生日)は、3月1日
or3月10日のいずれが適切でしょうか?
答えは「認可書到達日」の3月10日になります。
この点について、登記実務上の根拠は、「昭和34年民事甲第2737号民事局長通達」
になるようです。
先日、上記登記手続きを受託した際、認可書に明記されている日付ではなく、当事者
からの「聴き取り」によってしか判断できない到達日を効力発生日として登記すること
に何となく私は違和感を感じたため(到達日をきちんと控えていない可能性もあるでし
ょう)、あらためて詳しく調べてみたわけです。
市販の実務書・登記マニュアル本などを参照しても、上記のような根拠にまで言及して
いるものはほとんど見当たりませんでした。
考え方として、「主務官庁の許可という行政行為は、その行為のみで効力を発生する
ものではなく、相手方がこれを了知し得べき状態、すなわち到達したときにその効力が
発生すると解すべき」ことになるそうです(登記研究152号)。
なお、実務対応としましては、当事者(法人)から到達日を聴き取り、司法書士への登
記委任状に「認可書到達の年月日 平成25年3月10日」の要領で記載するのが一般的
です。
以上、自分自身の忘備録という意味も込めて記事にしました。
成年被後見人の選挙権についての判決
平成25年3月14日、東京地裁で成年被後見人の選挙権を認める旨の判決が出て
話題になっています。
判決の要旨(毎日新聞記事)はこちらをご参照ください。http://senkyo.mainichi.jp/news/20130315ddm012040110000c.html 一目読んで、リベラルで美しい理論構成だなと感じました。
以下、成年後見制度に携わる実務家の視点からひとこと解説です。
成年後見制度には、本人の類型(認知症等の症状の程度)に応じて「後見」「保佐」
「補助」の3類型が用意されています。
3類型のいずれに該当するかは原則として医師(精神科医ではなく主治医でOK)
の診断書をもとに判断されます。
(参考資料)大阪家裁の診断書みほん
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/30202046.pdf
本件判決で「違憲」と断じられた現行の公職選挙法第11条で「選挙権を有しない」
とされているのは、上記3類型のうち「後見」(成年被後見人)のみです。
逆に言えば「保佐」「補助」はそもそも選挙権に影響を与えません。
そして、実務上「保佐」プラス「代理権付与」という手続きによって、実質的に「後見」
とほぼ同じスキームで、本人をフォロー・ケアすることが可能です。
したがって、選挙権に強い思い入れを持っておられる方の後見等申立てを検討する
際には、主治医に「保佐」の診断書を作成してもらい、上記の手続きを利用するとい
うのも一つの手法ではないかと考えます。
成年後見制度についてはコチラ>>
成年後見業務の説明はコチラ>>
話題になっています。
判決の要旨(毎日新聞記事)はこちらをご参照ください。http://senkyo.mainichi.jp/news/20130315ddm012040110000c.html 一目読んで、リベラルで美しい理論構成だなと感じました。
以下、成年後見制度に携わる実務家の視点からひとこと解説です。
成年後見制度には、本人の類型(認知症等の症状の程度)に応じて「後見」「保佐」
「補助」の3類型が用意されています。
3類型のいずれに該当するかは原則として医師(精神科医ではなく主治医でOK)
の診断書をもとに判断されます。
(参考資料)大阪家裁の診断書みほん
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/30202046.pdf
本件判決で「違憲」と断じられた現行の公職選挙法第11条で「選挙権を有しない」
とされているのは、上記3類型のうち「後見」(成年被後見人)のみです。
逆に言えば「保佐」「補助」はそもそも選挙権に影響を与えません。
そして、実務上「保佐」プラス「代理権付与」という手続きによって、実質的に「後見」
とほぼ同じスキームで、本人をフォロー・ケアすることが可能です。
したがって、選挙権に強い思い入れを持っておられる方の後見等申立てを検討する
際には、主治医に「保佐」の診断書を作成してもらい、上記の手続きを利用するとい
うのも一つの手法ではないかと考えます。
成年後見制度についてはコチラ>>
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成年後見申立て管轄はどちら?~住所と居所~
ちょっとクイズです。
家事事件手続法第117条第1項
後見開始の審判事件は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判
所の管轄に属する。(一部省略)
さて、被後見人Aさんについて、住民票上の住所は大阪府ですが、現在は兵庫県の
病院に長期入院しています。
成年後見の申立ては大阪or兵庫いずれの家裁の管轄に属するのでしょうか?
答えは、兵庫の家裁です。
家事事件手続法上の「住所地」は、民法第22条に従い「生活の本拠地」と解釈すべ
きことになります。
そうすると、Aさんは兵庫県の病院に「長期入院」しているので、病院が生活の本拠
地と見られるため、病院所在地の家裁管轄になるという思考回路です。
逆に言うと「一時入院」であれば、そこが生活の本拠地とまでは見られないので、もと
の自宅等所在地の家裁管轄になるでしょう。
このように、「住民票上の住所」と「法律上の住所」とでは、必ずしもイコールになら
ない場合もありますので、注意が必要です。
なお、以上は、先日、実際に似たようなケースを担当して神戸家裁本庁の後見係に
意見照会した回答にもとづく見解です。
そんなわけで、私としては、久しぶりに兵庫の家裁にて申し立てになりました。
ローカルルール(?)が存在し、大阪家裁と較べて、即日面談の進め方等が違い、
少し違和感も感じつつの手続きになっています。
やはり「いつもと違う」管轄や提出先の際は、あらかじめ要確認ですね。
成年後見制度の詳細はコチラ>>
成年後見のご依頼をお考えの方はコチラ>>
家事事件手続法第117条第1項
後見開始の審判事件は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判
所の管轄に属する。(一部省略)
さて、被後見人Aさんについて、住民票上の住所は大阪府ですが、現在は兵庫県の
病院に長期入院しています。
成年後見の申立ては大阪or兵庫いずれの家裁の管轄に属するのでしょうか?
答えは、兵庫の家裁です。
家事事件手続法上の「住所地」は、民法第22条に従い「生活の本拠地」と解釈すべ
きことになります。
そうすると、Aさんは兵庫県の病院に「長期入院」しているので、病院が生活の本拠
地と見られるため、病院所在地の家裁管轄になるという思考回路です。
逆に言うと「一時入院」であれば、そこが生活の本拠地とまでは見られないので、もと
の自宅等所在地の家裁管轄になるでしょう。
このように、「住民票上の住所」と「法律上の住所」とでは、必ずしもイコールになら
ない場合もありますので、注意が必要です。
なお、以上は、先日、実際に似たようなケースを担当して神戸家裁本庁の後見係に
意見照会した回答にもとづく見解です。
そんなわけで、私としては、久しぶりに兵庫の家裁にて申し立てになりました。
ローカルルール(?)が存在し、大阪家裁と較べて、即日面談の進め方等が違い、
少し違和感も感じつつの手続きになっています。
やはり「いつもと違う」管轄や提出先の際は、あらかじめ要確認ですね。
成年後見制度の詳細はコチラ>>
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登記簿謄本が安くなります!
平成25年4月1日から、登記簿謄本(登記事項証明書等)が、
「また」値下げされるそうです。
インターネット登記情報も値下げ対象になっています。
つい数年前まで謄本1通1,000円だったのですが、あっとい
う間に600円(ネット請求の場合480円)ですか・・
一般市民の方は「得した気分」といったところでしょうが、
専門職は見積書作成時に注意が必要ですね。
手数料一覧は法務省公式HPをご確認ください。
http://www.moj.go.jp/content/000108361.pdf
「また」値下げされるそうです。
インターネット登記情報も値下げ対象になっています。
つい数年前まで謄本1通1,000円だったのですが、あっとい
う間に600円(ネット請求の場合480円)ですか・・
一般市民の方は「得した気分」といったところでしょうが、
専門職は見積書作成時に注意が必要ですね。
手数料一覧は法務省公式HPをご確認ください。
http://www.moj.go.jp/content/000108361.pdf
売買登記等の登録免許税、軽減措置の延長
租税特別措置法による登録免許税の軽減措置は、適用期限がい
ずれも「3月31日まで」と定められているため、毎年この時期になる
と注意が必要になります。
依頼者様にお支払いいただく登記費用に直接関わりますので。
結論から言いますと、今年は多くの軽減措置が延長・維持される見込
みなので、平成25年4月1日以降、大きく登記費用が変わる心配はあり
ません。
但し、オンライン登記手続きを選択した際のいわゆるオンライン減税
(現行3,000円)は廃止されてしまうそうです。
法務省の公式なお知らせは以下をご確認ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00146.html
ずれも「3月31日まで」と定められているため、毎年この時期になる
と注意が必要になります。
依頼者様にお支払いいただく登記費用に直接関わりますので。
結論から言いますと、今年は多くの軽減措置が延長・維持される見込
みなので、平成25年4月1日以降、大きく登記費用が変わる心配はあり
ません。
但し、オンライン登記手続きを選択した際のいわゆるオンライン減税
(現行3,000円)は廃止されてしまうそうです。
法務省の公式なお知らせは以下をご確認ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00146.html
すがはら法務事務所からの
お知らせ
- 2025.1.6
今年もよろしくお願いします - 2024.1.5
謹賀新年 - 2023.12.28
今年もありがとうございました - 2023.8.1
お盆期間の営業予定 - 2023.4.3
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