新・中間省略登記(司法書士)
不動産登記の仕事をしている中で、不動産業者の方から「中間省略登記ができるようになったの?」というようなご質問を受けることがあります。
平成19年の法務省公式見解によって俗称「新・中間省略登記」ともいわれる登記手法が認められましたが、これは従来の中間省略登記とは似て非なるものです。
非常にテクニック的でややこしい話なのですが、何故この手法が認められ従来と違うのかという点について、少しでもご理解いただくため、簡単にご紹介します。
1.まずは基本から~中間省略登記の禁止~
法の建前として「不動産登記は権利関係の実体を映す鏡である」といわれます。
ところが、従来の中間省略登記は、じっさいは「A→B」「B→C」と2回売買しているのに、中間「B」を省略して、「A→C」と直接売買しているような登記を入れてしまいます。
バブル期にはよく利用されていたようですが、これでは「実体と登記がズレてしまう」脱法的な登記手法ということで現在では禁止されています。
2.新・中間省略登記とは?
ところで、法務省の公式見解(平成19年1月12日法務省民二第52号民事第二課長通知)によって認められたのは、正式には「第三者のためにする契約」又は「買主の地位の譲渡」という登記手法です。
現在よく利用されているのは「第三者のためにする契約」で、具体的には以下のような手法で行います(ご説明のために簡略化していますのでご了承ください)。
- 「AB」間で契約(売買)する際に、Bは「Cのために」契約している旨の「特約」を付する(第三者のためにする契約)。
- 「BC」間で契約(売買)する際に、Bは「Aのもの(不動産)を」契約している旨の「特約」を付する(他人物売買契約)。
- 登記は「A→C」と直接移転する。
登場人物は「A→B→C」ですが、よく読んでいただくと、Bは①では「Cのために」②では「Aのものを」売買しているだけで、「黒子」のような存在であると分かっていただけますでしょうか。
屁理屈のような話ですが「特約」によってBの存在を消しているのです。
Bが「黒子」である以上、Bの登記を省略しても脱法にはなりません。
以上、特約を含めた内容を登記書類にも落とし込んで、堂々と「A→C」の直接移転登記を申請することになります。
ご参考までに、正式な契約書の「特約」の文例もご紹介します。
AB間の契約書の特約
- 買主は、本物件の所有権の移転先となるもの(買主を含む)を指定するものとし、売主は、本物件の所有権を買主の指定するものに対し買主の指定及び売買代金の支払いを条件として直接移転することとします。
- 売買代金全額を支払った後であっても、買主が買主自身を本物件の所有権の移転先に改めて書面をもって指定しない限り、買主に本物件の所有権は移転しないものとします。
- 売主は、移転先に指定された者が売主に対してする「本物件の所有権の移転を受ける旨の意思表示」の受領権限を買主に与えます。
BC間の契約書の特約
- 本物件は、未だに登記名義人が所有しているので、本物件の所有権を移転する売主の義務については、売主が売買代金全額を受領した時に、その履行を引き受けた本物件の登記名義人である所有者が、買主にその所有権を直接移転する方法で履行するものとします。
3.メリットと注意点
「第三者のためにする契約」の手法を選択するメリット(「B=不動産業者」にとってのメリット)は以下のとおりです。
- 必要に応じて、第三者・関連会社や社長個人名義に切替えをしやすい。
- 登記費用・不動産取得税等の「コスト」を節約できる。
- 登記(AB)完了まで1~2週間程度の「時間」を節約できる。
その一方、まずは制度を理解して契約文書等をきっちり整えて、正しく説明できる必要があると思います。
上述のとおり「中間省略登記」とは似て非なるものなので、担当者ご自身も誤解せず、また関係者にも誤解を与えてしまわないように注意をするべきです。
新・中間省略登記「第三者のためにする契約」について‥
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