成年後見 | すがはら法務事務所ブログ

すがはら法務事務所ブログ

大阪家裁・最近の後見申立て取扱い変更について

成年後見の分野は、利用促進法の影響もあり、リーガルサポートの役員で
司法書士会の新人研修にて成年後見の講師を担当する私でも注意しなけれ
ばすぐに置いていかれるくらいに、頻繁に事務取扱いが変更されます。

今年に入ってから2点、司法書士実務にも影響が少なくない変更がありまし
たので、忘備録を兼ねてご紹介します。

・書面審理(受理面接の一部省略)の開始
平成30年2月から、司法書士が申立て等に関与する等、一定の要件のもと、
受理面接を省略する取扱いが開始しました。
従前は、ほぼ一律、後見開始申立ては面接が必須だったのですが、これが
緩和されました。
なお、この取扱いは、現時点で「大阪家裁本庁のみ」です。

・申立書付票の追加
平成30年3月から、後見開始申立ての必要書類に「申立書付票」等が追加
されました。
この取扱いは、大阪府下の「3庁全て」です。

それぞれ、細かい適用要件など詳細は家裁HP等でご確認ください。

障害者権利条約

神奈川県相模原市で痛ましい事件が起きました。
この事件を受けて、私なりに声明文のような記事を書きたいと
ずっと思っていました。

言うまでもなく、絶対に許せないというのが、何よりも隠せない
率直な感情です。
社会全体が、このような卑劣な犯行に心から怒りを表明すべき
と思います。
デリケートな問題ですが、報道の仕方にも、私は何とも言えない
違和感を感じる部分があります。

もっとも、私は社会評論家でも福祉の専門家でもありません。
この事件をきっかけに、司法書士・法律実務家として、何を思い
行動すればよいか、具体的に思案しました。

障害者権利条約の存在をご存知ですか?
わが国でも、平成26年に批准・効力発生しています。

たとえば、成年後見業務に関して、障害者権利条約第12条の
趣旨を適切に理解することが必要と言われています。
しかしながら、わが国の成年後見制度・実務運用は、障害者
権利条約の理念にまだまだ追いついていないのが実情です。

私自身の執務もどうでしょうか。
心のどこかで、「理念は理念」「夢物語のような」と距離を置いて
しまっていることに、ふと気づき、反省させられます。

素晴らしい法令が、存在しているだけでは意味がありません。
法令に魂を入れるのは市民であり、法律実務家は、それをリード
すべき立場にあると自覚します。

飛躍的かもしれません。
でも、今から私にできることは、これしかありません。

障害者権利条約をより良く理解し、その理念の実現に本気で取り
組むこと。
出来ることから始めること。
成年後見人として、まずは、自分が担当している6名の方の「ベス
ト・インタレスト」に一層こだわり、幸福を増やすこと。

亡くなられた方のご冥福をお祈りし、
怪我を負われた方の回復をお祈りし、
二度とこのような事件が起きないように祈り、被害者の方々の想い
を「力」に代えて、私なりに消化し、執務を鍛えることも誓います。

あの事件をきっかけに・・と何年か先に振り返る日が来るように。

後見事務・大阪家裁の取扱い変更

引き続き、改正の話題です。

大阪家裁(本庁)への後見開始申立てですが、従前は
面談期日(当日)に申立書類を持参すれば良かったと
ころ、今後、面談期日の1週間前までに提出すべきこと
と変更されました。

後見実務も目まぐるしく変わります。

そして、後見実務の変更のフォローが大変なのは、法改
正ではなく「取扱い」レベルで変更されるということです。

かなり積極的に情報収集しなければ、いつ変わったの?
知らなかった・・となります。

これもまた、大変大変と泣き言を言う前に勉強。
そのように自分に言い聞かせるしかないですね(笑)

成年被後見人の選挙権についての判決

平成25年3月14日、東京地裁で成年被後見人の選挙権を認める旨の判決が出て
話題になっています。

判決の要旨(毎日新聞記事)はこちらをご参照ください。http://senkyo.mainichi.jp/news/20130315ddm012040110000c.html 一目読んで、リベラルで美しい理論構成だなと感じました。

以下、成年後見制度に携わる実務家の視点からひとこと解説です。

成年後見制度には、本人の類型(認知症等の症状の程度)に応じて「後見」「保佐」
「補助」の3類型が用意されています。
3類型のいずれに該当するかは原則として医師(精神科医ではなく主治医でOK)
の診断書をもとに判断されます。

(参考資料)大阪家裁の診断書みほん
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/30202046.pdf
本件判決で「違憲」と断じられた現行の公職選挙法第11条で「選挙権を有しない」
とされているのは、上記3類型のうち「後見」(成年被後見人)のみです。
逆に言えば「保佐」「補助」はそもそも選挙権に影響を与えません。

そして、実務上「保佐」プラス「代理権付与」という手続きによって、実質的に「後見」
とほぼ同じスキームで、本人をフォロー・ケアすることが可能です。

したがって、選挙権に強い思い入れを持っておられる方の後見等申立てを検討する
際には、主治医に「保佐」の診断書を作成してもらい、上記の手続きを利用するとい
うのも一つの手法ではないかと考えます。

成年後見制度についてはコチラ>>
成年後見業務の説明はコチラ>>

成年後見申立て管轄はどちら?~住所と居所~

ちょっとクイズです。

家事事件手続法第117条第1項
後見開始の審判事件は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判
所の管轄に属する。(一部省略)

さて、被後見人Aさんについて、住民票上の住所は大阪府ですが、現在は兵庫県の
病院に長期入院しています。

成年後見の申立ては大阪or兵庫いずれの家裁の管轄に属するのでしょうか?

 
答えは、兵庫の家裁です。

家事事件手続法上の「住所地」は、民法第22条に従い「生活の本拠地」と解釈すべ
きことになります。
そうすると、Aさんは兵庫県の病院に「長期入院」しているので、病院が生活の本拠
地と見られるため、病院所在地の家裁管轄になるという思考回路です。
逆に言うと「一時入院」であれば、そこが生活の本拠地とまでは見られないので、もと
の自宅等所在地の家裁管轄になるでしょう。

このように、「住民票上の住所」と「法律上の住所」とでは、必ずしもイコールになら
ない場合もありますので、注意が必要です。

なお、以上は、先日、実際に似たようなケースを担当して神戸家裁本庁の後見係に
意見照会した回答にもとづく見解です。

そんなわけで、私としては、久しぶりに兵庫の家裁にて申し立てになりました。
ローカルルール(?)が存在し、大阪家裁と較べて、即日面談の進め方等が違い、
少し違和感も感じつつの手続きになっています。

やはり「いつもと違う」管轄や提出先の際は、あらかじめ要確認ですね。

成年後見制度の詳細はコチラ>>
成年後見のご依頼をお考えの方はコチラ>>

すがはら法務事務所からの
お知らせ

取扱業務一覧

取扱業務の詳細を見る>>

相談内容を探す

相談内容を探すの詳細を見る>>

コラム

コラムをもっと見る>>

よくあるご質問

「すがはら法務事務所」のご案内

詳しいご案内は、こちら

「すがはら法務事務所」のご案内
[住所]

大阪府池田市菅原町2番1号→地図・アクセス

[電話番号]
072-741-1237

お気軽にご連絡ください。

メールでの問合せ・ご相談は、コチラ

[業務時間]

平日:9:00~18:00

土曜(隔週):10時~15時

上記以外(日曜・夜間も受付対応可)

[対応エリア]
京阪神全域、遠方出張も対応可
[取扱業務]

各種契約、相続遺言、会社法務、コンサルタント業務、役所・裁判所提出書類作成、司法書士・行政書士業務全般