成年後見 | すがはら法務事務所ブログ

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成年後見業務と金融機関

今日も金融機関と「喧嘩」しました・・

「成年後見業務で何が大変ですか?」と聞かれることがありますが、私が
一番大変だと思うのは、成年後見業務への理解度の低い金融機関とのや
りとりです。

成年後見制度もかなり認知度が上がってきていますが、制度類型の中で
も「保佐」「補助」「任意後見」あたりになってくると「知らない」という金融
機関担当者も多いようです。
個人的な不満ではなく、金融機関の対応が成年後見制度利用者の「重荷」
を増やすような実態は望ましいとは言えません。
たとえば、法的に正しい手続きが金融機関の「取扱い」のうえで実行できな
いというのであれば、その「違法」な「取扱い」の方を改善すべきでしょう。
制度をよく理解されたうえで、何が根本で何が枝葉なのかを考えながら執務
に臨んでいただきたいと考えます。

大手メガバンクなら大丈夫かというと、正直なところそういうわけでもなく、
むしろ大手ほど「硬直的」「お役所的」な対応をされる場合があります。
なお、成年後見業務で利用しやすい金融機関は、私の経験の範囲内でいえ
ば「ゆうちょ銀行」が一番だと思います(この点は逆にぜひ情報提供くださ
い)。

繰り返しになりますが、個人的な不満ではなく、支店担当者レベルでも、
あまりに理解度の低い金融機関は利用しないように、事前にチェックしたり
事後的に預け替えするなど、成年後見実務担当者の注意が必要な場合もあ
ります。

そしてまた、司法書士等の法律専門職は、金融機関等が今以上に成年後見制
度に理解を示してくれるように、勉強会の開催や地道な広報活動などを続け
なければならない、ということで少々愚痴っぽい話をまとめておきます。

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新・家事事件手続法と成年後見実務への影響

先日、受講した研修にて、本年1月1日から施行された新・家事事件手続法と成年後
見実務への影響について1点興味深い内容がありましたので、ご紹介します。

(家事事件手続法第121条)(新設)
次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ
取り下げることができない。
1 後見開始の申立て       (以下省略)

従前は、後見開始の申立てが家庭裁判所に受理された後であっても、当該審判確定ま
での間、取下権の濫用と見られる場合を除き、申立人から自由に申立てを取り下げる
ことができると解されていました。
たとえば、申立人は親族を成年後見人の候補者に希望していたが、裁判所が不適格と
判断して司法書士等の専門職を候補者に据えようとされた場合、それならばもう申立
てをやめますということで、取り下げて帰ってくることも可能でした。

法改正によって上記の条文が新設され、「取り下げには裁判所の許可を要する」と明
文化された趣旨は、被後見人保護という公益的見地であると言われていますので、以
後、上記のような恣意的判断による取り下げは許されない可能性が高いと思われます。

そこで、司法書士等が依頼を受けて成年後見申立て支援に関与するに際しては、今まで
以上に、依頼人や申立人に対して、上記の例のような一種の「申立てリスク」も説明する
必要性が増したといえるのではないでしょうか。

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成年後見の申立て時面談について

成年後見開始の申立書を家庭裁判所に提出するに際し、その場で関係当事者の面談が
行われるのが原則です。
家裁の用語では「即日事情聴取」と正式に呼ばれているようです。

まず予め家裁に電話して面談予約を入れておきます。
当日、関係当事者として「被後見人本人」「後見人候補者」「申立人」などが出席します
が、被後見人本人の体調等を考えて裁判所に行くのが困難であれば、無理に同席いただ
く必要はありません。
また、ヘルパーさんや司法書士・社会福祉士・行政書士等の同席は認められます。

家裁側で面談を担当されるのは「参与員」という非常勤の裁判所職員で、法律等専門職
や地域の世話役のような立場の方が多いようです。
なお、少し踏み込んだ判断を必要とされる場面では、常勤の裁判所職員である「調査官」
も同席されます。
面談ではかなり詳細に事情を聴取されるので、2時間以上の長時間にわたることも少なく
ありません。

当職が、いちばん最近(平成24年12月)面談に立ち会った際には、参与員の方が「今回
は新・家事事件手続法(平成25年1月施行)に則った方式で面談します」と前置きされまし
た。
「何が変わるのかな?」と見ていたのですが、「チェックシート」のような書面にもとづ
き、「記録を残しつつ画一的に処理する」というのが変更点のように思われました。
従来は、そのようなチェックシートを使用せず「ざっくり話を聞く」というようなスタンス
だったと記憶しています。

余談ですが、今までで一度だけ、面談による即日事情聴取が省略され、「書面による照会」
のみで済まされたケースがありました。
申立人兼候補者が平日仕事で忙しくてどうしても家裁に行けないというレアケースで、家裁
が便宜を図ってくださったのでした・・

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成年後見の「本人申立て」

成年後見開始の申立て支援は20件ほど関与してきましたが、先日ちょっと
珍しい(?)ケースを担当しましたので、ご紹介します。

成年後見の「本人申立て」です。

何が珍しいかといいますと、成年後見の申立ては法定申立権者のうち「四親
等内の親族」からされるのが一般的です。
四親等となると結構広いので、遠戚でもどなたか見つかる場合も多いところ、
今回のケースの方(被後見人ご本人)は全くそのような身寄りの無い方でした。
このような場合、市役所に「市長申立て」をお願いするという手法も検討可能
ですが、市役所によっては緊急性のあるケースでなければ中々動いてくれない
と聞きます(今回もそうでした)。

そもそも、後見制度は「認知症等で自ら法律行為ができない」方のための制度
ですから、そのご本人が自ら「家庭裁判所での申立て」という法律行為をする
こと自体やや矛盾を含むようにも思われます。

じっさい今回のご本人は短期記憶障害が顕著で、10分前の出来事も忘れてしま
われるのです・・
このような状況で、家裁の申立て面談時にきちんとした受け答え(後見制度を利
用したい、中西司法書士に後見人になってもらいたい等という意思表明)ができる
かどうか、一か八かという感触で申立てに臨みました。

申立て面談の当日は、家裁調査官がかなり時間をかけてご本人の「申立て意思の
確保」に苦慮されていました。
ケアマネさんのお力も借りて、何とか(調査官は苦笑い)申立てを受理いただく運
びとなりました。

今回は、家裁の良心的なご対応と、ご本人も「何とか最低限の日常会話は成立する」
という点がポイントだったと思います。

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