登記実務 | すがはら法務事務所ブログ

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地役権の承役地に地上権を設定できるか?

タイトルからして既にマニアックですね・・

簡略化すると、次のような事例がありました。

地役権の承役地になっている甲土地に、更に、建物所有を目的とす
る地上権を設定登記できるか否か?
なお、地役権の目的は通行・範囲は全部です。

地役権の範囲が「全部」なので、「建物所有」の地上権と客観的に明
らかに抵触するわけですね。

全体的にマニアックなので、地上権や地役権についての詳解は省略
します。

さて、意外にコレという参考文献が見つからなかったので、念のため、
管轄法務局(堺)に照会文書を提出しました。

法務局でも「レアケースなので数日検討させてください」とのことでし
たが、数日後に根拠を示して丁寧なご回答をいただけました。

結論は「(登記できるか否かについて)消極に解する」とのこと。
根拠は「直接的ではないが登記研究602号カウンター相談」とのこと
でした。

上記結論を受けて、実務対応としては、予め地役権を抹消してから、
地上権を設定しましょうということになりました。
(もちろん、地役権を抹消できる条件が揃っていたからです)

会社設立登記~払込みを証する書面~

株式会社設立登記の際の添付書面として、「資本金の払
込みがあったことを証する書面」というものがあります。

たとえば、資本金1,000万円・出資者AB2名の場合、出資
者代表A名義の預金口座に、AB各負担分の出資金を送
金又は入金して、当該通帳ページをコピーして原本証明の
うえ、法務局に提出します。

注意点としまして、「残高1,000万円」ではダメで、定款作
成日以降に入金されたという「フロー」を示す必要があり
ます。
なぜならば、定款作成日以前であれば、何のために入金
されたお金なのか、一般生活費等と区分し難いからという
趣旨でしょう。

さて、先日当事務所で担当したちょっと面白い(?)ケース
は、資本金1,000万円・出資者A1名だったのですが、依頼
者が「ABCDEFG合計7名がA口座に合計1,000万円入金
している」通帳を持参されました。

B~Gの6名は設立定款等に登場しない全くの第三者です。

商業登記実務必携図書である『商業登記ハンドブック(商
事法務出版)』を参照すると、
・使者を通じて振込入金等することもあり得るので
・通帳の入金者表示と出資者が一致する必要はない
旨の記載がありました。

それにしても、出資者1名に対して入金者7名は不自然で
はないかと法務局担当官から文句が付かないか?と心配
しつつ、シレッとそのまま提出したのですが、何事もなく
審査が通りました。

イレギュラーだと感じた事案については、裏付けを取って
理論武装しておくことと、依頼者に「最悪の場合」をリスクと
して事前説明しておくことを意識します。

上手く事が運んだ際にはホッとして、つい情報提供したくな
ります。

と、今回も結構マニアックな内容になってしまいましたね。
神戸本庁における事例紹介でした。

台湾渉外不動産登記その2~登記簿の表記~

先の記事の続編です。
(先の記事はこちら)
https://sugahara-legal.com/blog/touki_jitsumu/123/
台湾在住の台湾人の方の住所が不動産登記簿にどのように反映さ
れるのか、気になるところでした。

まず、前提として、登記申請に添付する際の住所証明書(その訳文)
の記載に従って登記するのが原則ですが、「国名」は住所証明書に
記載されません。

日本国の住民票も市区町村又は都道府県から始まり、「日本国」の
文字は入りませんよね。

さて、台湾の国名を不動産登記する際に、
1.中華民国
2.台湾
3.中国台湾省
などの表記が可能性として挙げられます。

当方は、ダメ元で「中華民国台北市・・」で登記申請してみましたが、
後日、法務局から電話が入り、「台湾台北市・・」で登記しますねとの
ことでした(平成25年9月12日登記・大阪法務局)。

台湾渉外不動産登記その1~住所証明書~

※下記の取扱いについては、平成27年3月24日付で法務局 から発出された公式見解により、変更されました。 変更の経緯等は平成27年8月13日付の本ブログ記事に記載 しています。 過去の参考記事として、あえて削除することなく残しておりま すので、ご注意ください。
台湾在住の台湾人の方を買主とする不動産売買登記を初め
て担当しました。
(日本における一般的な「台湾」の国名表記を使用します)

この内容のブログ記事は検索するといくつかヒットしまして、
当方でも参考にさせていただいたのですが、あらためて大阪で
の最新情報ということでアップします。

まず、台湾は「印鑑証明書」という制度が存在する数少ない国
の一つです。

この印鑑証明書に本人の住所が記載されるため、日本国不動
産登記法上の買主(登記権利者)の住所証明書として適格性を
有します。

但し、台湾と日本に正式な国交が無いためか、台湾で発行され
た印鑑証明書を日本の法務局等に提出する際には、「証明書で
あることの証明」を受ける必要があります。
(平成25年7月24日大阪法務局照会済)

「証明書であることの証明」の手順は次のとおりです。

1.台湾国内での手続き
・法院又は民間公証処における認証
・外交部領事事務局で再認証

2.日本国内での手続き
・台北駐大阪経済文化弁事処で再々認証

以上、印鑑証明書にさらにプラス3回の認証を経る必要がある
のですね。

ちなみに、日本国内で発行された証明書を海外で使用する際に
も、逆に、同様の手順を要求される場合があります。
(外務省公式HP)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/shomei/
今回、台湾国内の手続きは当事者自身で済ませてもらい、日本
国内の手続きは当方で代行しました。

事務の詳細について台北駐大阪経済文化弁事処に電話したところ、
同様の問い合わせが多いのか、あっさり「手続きマニュアル」のよう
なものをFAXいただくことが出来て助かりました。

日本国内の認証手続き代行に際して特に注意すべき点は次のとおり
です。
・本人自署の委任状が必要
・自署はパスポート(写)の署名欄と照合する
・本人の電話番号が必要(これは必要な理由がよく分からないが・・)
費用は1通1,500円で、原則、申請の翌日に認証が上がります。

台湾国内の事務の詳細は分かりませんが、当方から指示後、2回の認
証が上がってくるまで1ヶ月以上かかりました。
このため、反対当事者である売主様側に二度手間を強いてしまう場面
が出てしまいました(印鑑証明書の再取得など)。
実務現場では、そのあたりのスケジューリングについてのアドバイスも
大事かもしれないですね。

以上、本日現在、大阪の情報であることに再度ご留意ください。

住所変更登記と上申書と登記済証

不動産登記手続きで、たとえば、土地建物を売却する際に、
売主の登記簿上の住所(購入当初の住所)と現住所が異なる
場合、売買による所有権移転登記の前提として、住所変更登
記を申請する必要があります(なお、通常は連件申請で所有権
移転登記と同時に申請します)。

住所変更登記は業界用語でよく「名変(めいへん)登記」と言い
ます。
旧不動産登記法で「登記名義人表示変更登記」という手続き名
称であった名残でしょう。

名変登記は結構奥が深く、「名変が分かれば司法書士実務者と
して一人前」などと言われることもあるくらいです。

さて、住所変更登記を申請する際には、住所変更の経緯が分か
る前住所記載の住民票または戸籍附票を添付する必要があり
ます。

ところが、上記のいずれも市区町村役場における保存期間が5年
と短いので、住所を転々とされているような方の場合、経緯が分
かる証明書類の一部が廃棄済みで発行されないことが少なくあ
りません。

このような場合、「上申書」を提出して代替書類とします。

上申書に決められた様式はありませんが、「相違ありません」と
いう誓約のような文言を入れるのが一般的だと思います。

上申書には、本人の実印を押印し、印鑑証明書を添付し、さらに
「登記済証」も添付するのが通例です。
結局、法務局として「住所は変わったけれども間違いなく本人で
ある」ということが確認できれば良いので、まあ登記済証を保有
している人は本人である可能性が限りなく高いよねという趣旨で
しょう。

今回、この記事を書いた理由は、この上申書添付の登記済証は
「写しのみ」提出でOKと理解してこれまで処理してきたのですが、
先日はじめて「原本も」提出を求められたからです。

知り合いの司法書士にも聴いてみたところ、最近同じことを言われ
たとのことでした。

(たかが?)住所変更登記に登記済証の原本も添付するのは違和感
があり、事案によっては依頼者から預かりにくい雰囲気のこともあると
思うのですが・・

結局、上申書は法定書類ではなく、イレギュラーな取扱いレベルの
話なので、担当登記官に提出を求められたら従うしかないというこ
とになります。

非常に細かい話ですが、専門家が依頼者からある書類の原本を預か
るか否かの判断は、時に取り返しがつかない結果を招くことになるの
で注意が必要です。

ということで、情報提供も兼ねて記事にしました。

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